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白いリボン 感想 [映画]

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TUTAYAで借りた「白いリボン」という映画を見ました。
単館系のコーナーにあって目立つパッケージでしたので、前から何となく今度借りようと思っていました。
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幸の薄そうな少年が、唇を引き結んで何かを睨みながら涙を流しているモノクロの表紙です。
「モノクロの映画って得てして長いんだよね」と訳のわからないことを呟く主人でしたが、実際この映画も長く、疲れた状態なら余裕で寝ていたかも…

監督はドイツのミヒャエル・ハネケ氏。
全く名前を覚えてなかったのですが、大分前にファニーゲームという同氏監督のキッツイ映画を劇場に見に行った事があります。
内容は(ややネタバレ)確か、卵を貰いに来た少々図々しい青年2人組に強引に家に上がりこまれ、その家の家族はよく判らない内に殺戮ゲームのターゲットとして青年達にいたぶり殺されるという話だったと思います。
人の無邪気で残酷な感性を躊躇いも無く見せ付けてくるような作品でした。

今回見た「白いリボン」も無邪気で残酷な部分が描かれているのですが、この監督さんは「こういう原因があってこういう風に結びつく」と言うところを状況によって判り易く描くので、異常な出来事でも見てる側からは何となく想像できます。
見終わった後「結局あのときのアレはなんだったの?」と思うようなところはありません。
でも解決されないまま物語が終わるので、この後この物語の人たちはどうなったんだろう?というようなモヤモヤしたものは残ります。

前出のファニーゲームの時にも思ったのですが、作中の事件が余りにもショッキングで極端ではありますが、そのよって来るところは人が誰しも少なからず持っている心の闇や感情の揺れなので、何となくありふれた物を見るような感覚になってしまう。
ありきたりな部分を極端な事件で味付けしているという感じです。
その「極端な事件」そのものも余り捻りがないから、ショッキングなわりに私は新鮮味を感じ難かったです。

白いリボンというのは無垢の象徴で、作中で厳格な父が子供に対して戒めとして使う小道具なのですね。
時代背景はWW1直前。舞台はドイツの片田舎。語り手は冴えない教師。
抑圧する者とされる者の間にある鬱屈したものが次々と陰惨な事件となって現れてくるという物語の展開。
事件はおそらく無垢を強いられた子供達による穢れたものに対する鉄槌なのですが、その潔癖さと陰惨さは理不尽な厳格さを強いる父親の抑圧によって醸成されているという。。。
父親の躾が自己満足で不公正で理不尽である様に、子供たちの正義も勝手なもので、平気で嘘をついたり嘘をつかせたり、物を取ったり虐待したり、そういうものだと解ってはいてもあえて見たくないものばかり。
映像は白黒で、私には何故だか景色が綺麗に感じられました。白と黒っていう視覚の効果もこの話のテーマに沿っとてるのかなと思います。

お話自体は判り易いのですが、何かが掴めない…何がわからないのか判らないというもどかしい感想も同時に持ちました。
きっとまだ伝えたに何かがあるのでしょうが、あえて見たくない(笑)
見たいけど見たくない、見たくないけど見たい、という様な気持ちにさせる作品をつくるのがこの監督の魅力なのかも。



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